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ニューヨーク出産事情 〜同時多発テロを経験する。


最初の子供を産みそして育てている時に、生命力の強さを感じる瞬間が何度かありました。

遡ること3年前、ニューヨークで最初の子供を生みました。高層ビルが立ち並ぶマンハッタン島の対岸のアストリアという街に暮らしており、私は産休中で初めて経験するおっぱい育児と格闘していました。

 折しも、慣れない育児が一段落した9月11日早朝、日本から電話をもらいました。翌日に孫の顔をみようと名古屋から飛行機に乗る予定だった義父母からでした。

「世界貿易センターに飛行機がつっこんだようだ」。

驚いて窓をみあげると、すでに大量の煙がたちのぼっているところでした。時事に疎い私でもすぐに異常事態だと分かりました。あわててテレビをつけると、全く予想にもしなかった事態が次々と。行方不明中の2機目が貿易センターにつっこみ、炎上。ペンタゴン近くへ別の飛行機が墜落。最後に世界貿易センターの崩壊。街中にサイレンの音が響き渡り、消えることはありません。そして夜を迎えると、軍用機が何度も低空飛行し、まさしくアメリカは戦時下体制にありました。B−29の襲撃を恐れて防空壕にかくまっている家族のような錯覚に何度も陥りました。驚愕しましたし、本当に怖かったです。

救いだったのは、私の傍らには、そんな事件をものともせずおっぱいに必死にしがみついている子どもがいたこと。そして仕事の都合上これまで離れて暮らしていた夫が傍にいてくれた事。しかし、もうすでにこの段階で数多くの人が亡くなっていたんですよね。生と死を考える事件でした。

アメリカではこの事件後、いわゆる出会い系サイトが繁盛し、そしてベビーブームが起こったそうです。社会不安からか、安心できる自己の受け皿として家族を作りたい、また確実なものを残したいという心理が働いたなどと分析されているそうです。わかるような気がします。

実は私にとっても、出産、育児そして同時多発テロという3つの折り重なった経験は、自分の価値観を大いに変えました。

お恥ずかしい話ですが、これまでは人の役に立つ仕事がしたいとか、いろいろなことを知り自己を伸ばしたいだとか欲張りな望みがたくさんありました。しかしこの時期を経てからは、人間は生まれそしていずれはみんな死んで行くという単純な事実を淡々と通っていくことが大事なんだと思えるようになりました。
言い換えれば、今日、たとえ生産性のある仕事をしていなくても、自分がここに生きていて、生きていこうとする命を育てているってことは意味のあることだと再発見できたということ。食事を用意し、食べさせ、着がえさせ、一緒に遊び、トイレに連れて行き、お風呂に入れ、掃除をするという毎日繰り返される生命の営みのためだけの日々。これが毎日エンドレスに続くわけですが、ふと気づけば子供は成長していている。これが喜びであることの発見ですかね。

しかし、この生命の営みの仕事をひとり抱えながら日々が慢性化すると閉塞感を感じるのも事実ですが…。


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